こんばんは。
ご無沙汰しています。Oたです。
昨年末、会う人々に「今年のベストコンテンツは何でしたか?映画、ドラマ、本、漫画、音楽、絵画、YouTube、何でも良いです。」という話題をよく振っていた。
どんな人でも、何かしら「推し」のコンテンツがあるもので、色々な作品を色々な熱量で語ってくれた。
そんな私はというと、HBO製作のドラマ『THE LAST OF US』にどハマりしていた。
2013年にリリースされたゲームが原作であり、アメリカで突如発生した寄生菌によるパンデミックで荒廃した世界を、主人公・ジョエルと少女・エリーが旅する物語だ。
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ゲーム音痴ゆえに原作ゲームの存在すら知らなかったのだが、ドラマ版の脚本制作にクレイグ・メイジンが携わっていると知って見始めた。
原作改変とそれに纏わる悲しいニュースが世間を騒がせているが、改めて実写化の可能性について考えたい。
ドラマ鑑賞後、実家に暮らすニートの弟に原作ゲームを途中までプレイしてもらった。
銃撃戦や戦闘シーンが多いのだが、基本的には主人公・ジョエルの後方からの映像が続く。
カメラ位置もプレイヤーが動かす必要がある。
イベントが発生するとカットバックも入るのだが、映っているのは基本的に主人公の後ろ姿だ。
原作になく実写ドラマにあるもの、それはまなざしのバリエーションだと思った。
特にそれを実感したのは第3話「長い間」だ。
第3話では、ジョエルと無線でコンタクトをとっていたビルとフランクのラブストーリーが描かれる。
穏やかな時間を過ごした後、ビルとフランクは老いと病に別れを告げるべく服毒し、住んでいた家の2階で心中する。
その数ヶ月後にジョエルとエリーが家を訪れ、ビルが残した遺書を発見する。
残された物資をビルの車に積み込み、ジョエルとエリーは街を後にする。
エリーが一本のカセットテープを発見し、カーステレオで再生する。
リンダ・ロンシュタットの『Long Long Time』が流れる。
ビルとフランクが恋に落ちるきっかけになった曲だ。
Long Long Time (Remastered) - YouTube
ジョエルはそれを知る由もないが、曲を聴き「懐かしい」と溢す。
目尻に皺が寄り、微笑んでいるようだが、表情がよく見えない。
後部座席からのカットバックが続いた後、二人の後頭部が映される。
「懐かしい」という台詞の作用を借りて、私たちはこのカットに既視感を覚える。
第1話「闇の中にいる時こそ…」でジョエルの娘・サラが見ていた光景だ。
第1話は、サラが主人公として描かれる。
パンデミックが始まった日、サラは車の後部座席に乗り、街を逃げ惑った。
そして、この時も私たちは後部座席から、ジョエルの後頭部を見ている。
無論、当時ジョエルは助手席にいて、運転席にはジョエルの弟・トミーが座っているのだが。
サラはその直後、命を落とす。
つまり、今私たちが見ている光景は、サラが生前見ていた視界と符合するのだが、それによってサラの死という記憶がより強い輪郭を持って浮かび上がってくる。
そして、画面はビルとフランクが眠る家の2階の窓から、外を映すカットに切り替わる。
ジョエルとエリーを乗せた車が遠ざかっていくのが見える。
腐敗臭が少しでも和らぐようにと、生前ビルが開けておいた窓から入った風がカーテンを揺らす。
亡くなったビルとフランクの視覚を借りて、私たちは主人公たちを見送り、第3話は幕を閉じる。
脚本の完成度もさることながら、これは実写化した映像作品でしか得ることができない体験だと思った。
色々と御託を並べて褒めてみたものの、見終わった後しばらく呆然として言葉を失ってしまったので、もしU-NEXTに加入している方がいれば是非見てほしい!
※そして出来れば私と語り合って欲しい!
シーズン2の製作も決定しているようで、公開は早くて2年後(2025年)とのことなので、それまでは生きていたいと思う。
以上、また会う日まで。
Oた